採択学生の活躍(高野 心様)

採択学生の活躍

【プロフィール】

大分県大分市出身、1997年生まれ、学位は博士(工学)である。北九州市立大学次世代研究者挑戦的研究プログラム「地域で育て地域を興す博士後期プログラム」(以下、プログラムという。)採択期間は20224月から20233月となる。その後、日本学術振興会特別研究員(DC2)20234月から20243月に採択される。現在は、塩野義製薬株式会社研究職社員として在職中。

 

【学歴】

20203月北九州市立大学国際環境工学部環境生命工学科卒業

20223月北九州市立大学大学院国際環境工学研究科環境システム専攻バイオシステムコース博士課程前期修了

20243月北九州市立大学大学院国際環境工学研究科環境システム専攻バイオシステムコース博士課程後期修了

 

Q1.プログラムを応募するきっかけを教えてください。

指導教員からの紹介を受けました。

 

Q2.プログラムに採択期間中、北九州市立大学では育成チームという外部有識者を交えた伴走支援をプログラム採択学生に実施しました。得られたアドバイスで、印象に残ったことがあれば教えてください。

 プログラムでは、北九州で実際に事業を立ち上げた方々と意見交換を行い、ビジネスチャンスや新規事業の可能性について議論を行いました。その中で特に印象に残ったのは、「新しいことや誰もやっていないことにこそビジネスのチャンスがあり、挑戦しなければ何も得られない」という考え方です。外部有識者の方々は、常に最新のことに興味を持ち、人脈を広げながら挑戦を続けていました。私は、失敗を恐れ、挑戦をためらってしまう性格でしたが、有識者の方から「100回の挑戦のうち1回の成功でも、その成功が100倍以上の価値を生み出せば十分に勝ちだ」という考えを伺い、大きな感銘を受けたことを覚えています。

 

Q3.プログラムの特色として、地域とのつながりが掲げられています。採択期間の活動のなかで、つながりが得られたエピソードがあれば教えてください。

 プログラムを通じて、地域で事業を立ち上げ活躍されている方々と交流する機会があり、常に新しい出会いがありました。大学や研究機関にいると研究者とのつながりはあっても、地域のビジネスや経済を実際に動かしている方々と接する機会はほとんどありません。しかし、プログラムで、地域の活力の源である方々と直接お話しすることで、街や社会がどのように動いているのかを実感することができました。さらに交流を通じて、街の人々が大学や研究者に対して「地域に新しい価値をもたらすこと」や「知を社会に還元すること」を期待していると感じ、研究に対する責任も感じました。

 

Q4.プログラム及び日本学術振興会特別研究員(DC2)を通じて、得られた経験等あれば教えてください。

 第一に、申請書を書く経験は非常に有意義でした。審査する方々に伝わるように表現を工夫し、論理性や説得力を意識した文章力が必要だと感じました。

 また、プログラムを通じては、他業種の方々との交流や、他分野の博士課程学生の前で研究発表を行う機会がありました。専門外の方々にも伝わるように工夫する経験は、自分の発表スキルを向上させるものとなりました。日本学術振興会特別研究員としては、学会で多くの研究者とディスカッションする機会に恵まれました。最前線で活躍する研究者の研究姿勢や情熱を目の当たりにし、自分はまだまだ努力が足りないと痛感しました。その一方で、大きな刺激とモチベーションを得て、より一層研究に取り組む意欲が高まりました。

 

Q5.現在塩野義製薬株式会社研究職社員に在職されていますが、今後の展望をお聞かせください。

 私は学生時代に高分子材料の研究に取り組んでおり、製薬企業では珍しいバックグラウンドを持っていると思います。近年では高分子材料が創薬やドラッグデリバリーの分野でも注目を集めており、自身の専門性を活かして新しい知見を提供し、会社に貢献していきたいと考えています。将来的には、高分子材料と製薬研究をつなぐ架け橋となり、製剤技術の創出に取り組むことを展望しています。また、この珍しいバックグラウンドは、誰も挑戦していないことに取り組むチャンスでもあると捉え、積極的にさまざまなことに挑戦し、研究の幅を広げながら新しい価値の創出を目指していきたいと考えています。